『ファイアーエムブレム風花雪月』をクリアした

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ファイアーエムブレム風花雪月』帝国エンドを迎えた。エーデルガルトとS支援エンドを迎えてラブラブである。

一言でいうとメガテンのカオスルート

「神を討ち世界は人が動かすべきだ」という建前と「自分や兄弟姉妹がひどい目にあった原因を取り除きたい」という本音が交錯する辺りがすごくそれっぽい。ただロウルート的な神を討滅しただけでは問題は解決せず、なんだかよくわからない悪の軍団「闇に蠢く者」が別に存在している。そいつらとの話がきっちりしないのはすっきりしない。俺たちの戦いはこれからだみたいな話になっちゃってるんですけど。特に闇に蠢く者は主人公にとって父親の仇でもあるので、その辺りでカタルシスを感じさせてくれない展開になるのですごくもやもやする。「あいつらは目的のために利用できるから! 師もそれでOKよね!」と、主人公の感情を無視して話が進んでいるように思えた。ここ、俺が何かを読み飛ばしているのだったら指摘してほしい。この辺りは「その全貌が知りたい」というよりは「ベレスの父親の敵と未だにつるんでることについて、エーデルガルトから釈明を聞きたい」というところが強い。直接実行犯のクロニエはソロンに殺され、そのソロンは封印から出てきたベレスにあっさり倒されてしまったので、敵は討ったのでスッキリという気分にはなれないのである。真の敵はまだ生きてるし、エーデルガルトはそいつらとつるみながら「いつか倒すから いつか倒すから」としか言ってないような気がして。

ストーリーの描写が短くないか?

 物語の展開が全体的に駆け足感ある。エーデルガルトの味方をするかどうかについて、その場で殺すかかばうかという極端な選択肢が発生するのだが「さあ殺そうすぐ殺そう」みたいなレア様に対して、落ち着いてちょっと話し合いましょうよ、みたいなノリで「かばう」を選んだら突然レア様が「あなたも失敗作だったのですね」とか言い出してドラゴンに変身したときには何事かと思った。しかもドラゴン1枚絵。このドラゴンの絵、後々再利用されるのでなんだか手抜き感がすごい。ドラゴンへの変貌後、なんであんなことになっているのかはエーデルガルトが色々説明してくれるのだが詰め込み感がすごかった。父親の仇周りも展開がとても急。仇であるクロニエをようやく追い詰めたところで別の敵・ソロンが登場し、クロニエを生贄にしてベレスを謎の空間に閉じ込めてしまう。謎の空間内で脳内にいたのじゃロリがすべてを思い出し、自分と融合すればここから出られるというので融合。出てきてソロンを倒す。気になるのはこの辺りぐらいなのだが、もうちょっとこうなんとかならんかと思わされた部分ではあった。クロードを倒す辺りとか倒した後生かすか殺すかみたいな選択肢は面白いのに……。

Twitter特有の大喜利評価

 ストーリーが駆け足なのはキャラクター同士の描写に力を入れている部分もあると思うのだが、こちらは一週目、初のFEということもあってシステムを把握するのに必死でキャラクターの関係を把握しきれていない部分がある。お茶会同じ相手と複数回出来るときがあるとか第二部入ってから気づいたしな。そんなわけで、第二部に入ってから他学級の生徒と戦うときに悲壮感があまりない。

 風花雪月が出た当時こんな騒ぎになっていたのを思い出したが、これが大げさどころの騒ぎではなく「何をどうやったら道徳がどうのという話に……?」とすら思えてしまう。「元々級友だった人間たちが殺し合う」というよりは「一触即発の状況にあった人間たちの中で一人が策謀を巡らせていた」という話なので道徳もなにもない。これを道徳がないというのなら三国志の登場人物は道徳がない連中ばっかりである。物語中の思考規範と現実の思考規範をうまく区別できない人がこういう思考に陥るのだろうかと考え、メギドでも似たような感想を抱いたのを思い出した。

諸々の原因・エーデルガルト

 このゲームをプレイしたい、switchがほしいと思うようになった最大の要素である。さぞかしラブラブしたカップルになるのであろうと思っていたし、後日談の描写も実際そんな感じであった。が、クリア後の印象としては「なんかめっちゃ向こうに惚れられてるけどこっちとしてはそうでもない」という感じである。色々背負い込んで悲壮な決意で「それでもこの世界のために戦うしかないんだ! 人々を解放するんだ!」と言う子が「しんどいつらいなぐさめて」と寄りかかってくる。重い。その重いキャラに対する反応が大変淡白なのである主人公。そこに関係性の非対称さを感じてしまい、うーん、となっている。先にも書いたが駆け足な選択肢部分で「まあまあちょっと話聞いてみましょうよ」ぐらいの気持ちだったのであんな展開になるとは思わなかったのだ。エーデルガルトさん、あそこで師が自分のことを選んでくれたというのがかなりアイデンティティになっている気がする。何気なく言った言葉が人の人生を左右するゲーム風花雪月。また、第一部で色々とやってきたことについても周りの連中を騙していたわけだが、そこについても特に釈明がない。人望があってそれらの言動が許されてる、というほどにエーデルガルトのキャラクターが掘り下げられている印象はないため、やはりもやもやしたものが拭えない。そこでみんなに頭下げるキャラじゃねえよな、というのはわかるんだが、それ故にベレスとエーデルガルトの間に相互理解に欠ける部分があると思うので「エデレス~!」って素直に喜べないのが現状である。エーデルガルトはベレスがいないとダメなのだが、多分ベレスはエーデルガルトがいなくても困らない。では何故一緒にいるのかと問われると「お願い行かないで」ってすがりつかれたから側にいるように見えて。

ゲームシステムについて

 ここまで色々と細かいことを書いてきたが、ゲーム自体は大変おもしろい。周回前提のせいか難易度が低く、FE初の自分としても大変楽しめた。キャラクター自体が嫌味のある作りになっていないのはすごい。敵側に多少アレなキャラが出てきたらしばらくしたら死ぬかすぐ死ぬ。例外はヒューベルトの外伝ぐらいだろうか。闇に蠢く者にいいようにコキ使われる話なのだが、後から仕返ししてカタルシスを感じさせる話になるのかと思ったらその辺りは「俺達の戦いはこれからだ」になってしまったのは先にも書いたとおり。育成システムについては上位クラス、最上位クラスを踏まえて最初から目標を定めておかないとえらいことになる、というのは一週目だとなかなか把握できなかった。おかげで騎兵2名が最上位クラスに到達できないまま終わってしまったのがちと残念。それでもクリアできると言えばできるのだが。自分自信の育成が他者をスカウトする条件になる件についても同様で、意識的にスカウトできたのはリシテアぐらいだった。また、自分で意図しない人間関係が戦闘を経て出来上がっていく部分は大変おもしろい。キャラクター周りのテキスト量がメチャメチャ多いので、「メインストーリーよりキャラの交流を楽しんでね」という作りなのはわからなくもない。実際キャラクターに人気が出るのはよく分かる。交流を深める程に、そしてキャラクター同士の交流が深まるほどに「実はこういう過去がありまして」みたいな話がポロポロ出てきてキャラに深みが出来ていくのは大変良い作りだと思う。

 2周目はもちろんプレイする予定なのだが、無難に青獅子で始めるべきか周囲を見ていると評判のいい金鹿をプレイするかが悩ましい。煤闇はなんか難易度が高そうなのが別の意味で悩みどころ。