感想:黄金のレガシーへのツッコミどころを羅列してみた #FF14

 黄金のレガシー、現実装部分をクリアしたので感想を書いてみることにする。漆黒暁月と来て概ね「いやあ面白かった」の一言で済んでいたFF14のメインシナリオだが、黄金が賛否両論あるのは納得できる作りだった。「まあ前2つが良かっただけで悪い方のFF14のストーリーってこんなもんじゃないの」という評価もあるが、ツッコミどころがある作りだったとは思う。特に「ヒカセンの夏休み」という名目だったが「親戚の家に行ったら親戚の子供の面倒を見てる間に夏休みが終わった……」みたいなところもあり、そういう部分に不満が出ている人も多いのではなかろうか。具体的にはこれ以上主人公というか自キャラを成長させるという行為に限界を感じたのか、他人を成長させる話にシフトした印象があるのだ。自分ももと暁の仲間たちも登場人物の成長を見守っている印象が強かった。

 ストーリーは大きく前半と後半に分かれており、前半は王位継承のための旅の付きそいであり、後半は派生したものも含めいろいろな問題を順次解決してまわる話となっている。

 前半は頼りない王女様をひたすら面倒見て回る話。話の展開がとにかく王女様に都合がいい。特に途中の料理勝負が「これ王女様を立てるための出来レースじゃねえ?」感ある展開だったのが悪い意味で印象的。歴史を学ぼうとするウクラマトとコーナ組とそんな事は考えてなさそうなゾラージャとバクージャジャ組というところから仕組まれた展開感がすごかった。

 そこからは前半一番の悪役だったバクージャジャがかわいそうな子だったので許される流れになるのだが、バクージャジャがそんな行動に出た理由が「自分が失敗作の山の上に出来た子だから」というすごい使命感の話になるんだけど、そこまでの思いを持って王位を継げと送り出された子がいた一族、全然和解してないのでは? その前に「料理を通じて皆仲良くなったよ!」ってやるんで余計にそう思わされる。表向き和解しててもそうじゃないことはある、みたいな流れにするには難しすぎるけど。

 一方最後の最後で反則負けした上イマイチ目立たなかったゾラージャ。途中でクルルがその心の闇が云々言うけど最初から敵として造形されてた感がわかり易すぎるというか、プレイヤーの思い入れがあまりできないように作られている気がする。

 王位継承の条件が「黄金郷を見つけること」なんだけど黄金郷への入口を見つけて「すごいや黄金郷は本当にあったんだ」から「じゃあ見つけたんで皆帰ろう」って展開もテンションを下げてくれる。しかも「誰だよてめー」みたいな状態でケテンラムが突如現れて場を収めてしまう。最終的にウクラマトが王位継承するのだが「これウクラマトとコーナ2人で王様になれば良くない?」と思ってたら案の定そうなったりするところもうーんって感じではあった。その後ゾラージャが黄金郷の鍵を簒奪してその力を手に入れるだが、どうやって入ったのかと思ったら「ケテンラムが全部鍵を持っていたので襲撃して奪った」というオチなのはあんまりだと思った。合鍵所持者にセキュリティホールがあるよ!!

 後半はウクラマトが王になってから特にやることもなく旅立ってやっと夏休み気分かと思ったが「サブクエでやんなよ」レベルのウエスタンなシナリオが始まったりネイティブアメリカンな人達と交流したりして「もうちょっと心躍る夏休みの冒険みたいなのはないんすかね」と思っていたら黄金郷の力を手に入れたゾラージャがメカニーサンになってトライヨラを襲撃。父バクージャジャを超える力を手に入れ父を倒したゾラージャという展開なんだけど「死んでも生き返れる装置をつけてきた」という展開なので「そりゃいつか勝つでしょ」みたいな流れでこれまたいまいち盛り上がらない。どこかで見たようなエフェクトとともに復活するゾラージャにはその「おまえ本気でかっこいいと思ってんのかそのメカスーツ!」なデザインも含めて笑うしかなかった。その場にケテンラムが現れて色々と収めてくれるのだが「だからなんでお前が仕切るんだよ」という気分になる。これで実はゾラージャに味方する悪役とかだったらわからなくもなかったのだがそんなこともなかったので余計に「なんなのお前」感がすごかった。

 そこからは黄金郷の秘密を解き明かしていく話になるのだが、「黄金郷が別の鏡像世界だった」という話になるせいで黄金郷の秘密を巡るワクワクするような話にならない印象がある。その力を簒奪したゾラージャ、そして彼に頼らざるを得なかった向こうの世界の支配者スフェーンの話になっていくので「世界の神秘を解き明かす」みたいな話よりはどちらかと言うと感情論になっていく。特に「ここは死んだ人間の魂を循環させない世界でそれは間違っているので潰してくれ」みたいな話になっていくので余計に感情論になる印象がある。相手の超技術についても割と早々にこういうことですって説明されるので謎を解く感覚はない。

 その「死んだ人間の魂を維持している装置」をシャットダウンするのはプレイヤーの手によるというのがなんとも「はいはいそういうとこで悩んでほしいのね」という気分になるが、それらの流れに今回のキーキャラクターになるクルルやエレンディルの話が絡んでいるので余計に微妙な気分になる。クルルの出生の秘密についてはそう悪い印象はなかったがエレンディルは母親への反応からなんか意外と幼いな君……ってなる。「知恵は回るし技術はあるけど戦闘力は皆無」なエレンディルくんはなんかソシャゲの指揮官タイプ主人公を脇役にするとこうなるみたいな印象を持ってしまった。

 他に気になった点といえば、鏡像世界はこちらと時間のズレがあるという話に絡めてゾラージャの子供がでてくるのだが、母親は……? という話になる。思えば前王グルージャジャの妻というかゾラージャの母親が出てこない。バクージャジャの家族はちゃんと両親いるだけに余計に「なんでここだけひたすら母親不在?」となるのだ。ついでにいうとウクラマトの実の父親は描かれるけど母親の話は出てこないしコーナ兄さんの両親の話も出てきそうで語られない。その状況でウクラマトに「家族みたいなもんだ」と言われてもずいぶんいびつな家族ッスねみたいな気分になってしまう。

 とまあツッコミどころを探すといくらでも出てくるが褒める言葉が出しづらいシナリオだった。